誰にも教えてもらいない必須スキル「”上機嫌”という人として最も尊いスキルのはなし」

誰にも教えてもらえないスキル

こんにちは!りっきー塾長です。

「上機嫌というのは、“生産的で幸福なチームを作るうえで一番大切なスキルである”にもかかわらず、それをきちんと認識できている人は、ごくわずかである・・・」

もしこういう論文を読んだら、どう思いますか?

私は上機嫌の大切さを、明治大学の齋藤孝教授の著書から学びました。

彼は題名もズバリそのものである「『上機嫌の作法』(2005年、角川新書)」や、「『不機嫌は罪である』(2018年、角川新書)という本を書いています。

 

18世紀のドイツが生んだ偉人、ゲーテも、こう言っています。

「人間の最大の罪とは不機嫌である」

3世紀も前からすでに「不機嫌」は、人間にとって最大級の罪とまで考えられていたんですよね。

しかし現代の日本において、自分の周りを見回してみると・・・・

そこかしこに「不機嫌」があふれかえっているという、悲しい現実があったりします。

今回は人間の最大の罪である「不機嫌」と、その反対の「上機嫌」について、職場やチームの幸福度と生産性向上という観点から考えていきたいと思います。

 

a

不機嫌は“コスパがいい”

いきなり多くの人を敵に回しそうな小題ですが、これは私が約20年の社会人生活を送る中で、本当に感じていることなんです。(逆説的な意味でね)

どういうことか、少し説明していきます。

あなたの会社で、「そこそこ頭はいいし、仕事はできるし、結果は残すが、やたらと不機嫌な人」っていませんか?

ちなみに私の周りには、わりと少なくない人数で、こういう方々がいました(笑)

 

前回の「怒りのマネジメント」の記事でも書きましたが、こういう人って常に何かに対して怒っていて、あるべき姿でない設備・システム・人に対して、「不機嫌に怒りをまき散らす」というのが得意だったりします。

そして「いつも上機嫌な人」に対して、「お前は何も考えていないし、何もしていないから上機嫌なんだ!不機嫌じゃない奴は仕事をしていないのと一緒だ!」と、暗にダメ出ししながらプレッシャーをかけたりします。

 

なんでこういう「不機嫌な職場」がわりと多いのか?

それは会社という場所では、特にオッサンが多い場所では、実は不機嫌は「コスパがいい」からなんです。

どういうことかというと、誤解を恐れずにかなり端的に言ってしまうと、難しい顔をして不機嫌そうにしていれば、自分が「忙しくて重要な人」だと思われるから、なんですよね。

あわよくば、不機嫌にしているだけで、なにやらリスペクトの念を持ってもらえる(と本人が思っている)ということです。

しかも会社の中でオッサンは、そこそこの地位にいたりします。

そんなそこそこ偉いおっさんが難しい顔をして、不機嫌そうに電話したり、部下に説教していると「ああ、あの人は責任ある大変な立場で、高度な仕事をしていてスゴイ人だな、がんばっているんだな」と、周りの人が思ってくれる(と本人が思っている)ということです。

 

しかもそこそこ偉いひとが不機嫌になると、周りの人が気を遣って優しくしてくれたり、多少無理を言っても、ビビッて聞いてくれたりします。

そうなんです。不機嫌は、オッサン(オバサンもね)にとってメリットが多いんです。

こんなにメリットだらけの「不機嫌キープ」、やめる理由がありますか?

 

不機嫌な職場は幸福度が著しく低い

しかし、です。

ここ約10年で、パワハラやモラハラが「犯罪」として認識され、職場でのハラスメント防止が企業の主要な課題になる中で、「不機嫌」は急速にその価値を減損させられてきました。

前出の齋藤孝教授の著書に代表されるように、「職場の不機嫌」をどう改善していくのかということが、メンタルヘルスはおろか、職場の生産性向上の切り口からも重要なテーマとされ、ずいぶんと研究されるようになってきています。

最近の研究結果をカンタンに言うと、「職場の不機嫌は、本人はおろか周りの人全員の健康を損ない、かつチームとしての生産性も低下させ、さらにはチーム全員の幸福度を低下させる」という、わりと悲惨なものです。

もう、「不機嫌」は、最低の低レベルです。

まるでダメ。イイとこナッシング

100万害あって、0.0001利もナシ、というやつです。

 

さらに悪いことに、不機嫌は、一人で完結するものではありません。

不機嫌なおっさん(おっさんじゃなくてもね)は、個室とかほら穴で、一人で勝手に不機嫌プレイしていてくれればいいのですが、会社ではそうもいきません。

職場の誰かが不機嫌だと、それは必ず周りに連鎖します。

特に上司やリーダー格の人の不機嫌は、そのチームに甚大な影響を及ぼします。

「不機嫌は必ず連鎖し、そして100万害を生む一方で、1利すら生まない」のです。

 

時代は変わりました。

「不機嫌」について、ついに医学と科学のメスが入り、その凶悪性が証明されてしまいました。

残念ですが少し昔まではコスパが良かった「不機嫌」は、今やパンデミック級の「人類の敵」に成り下がってしまった。

まずはこの事実に、多くの人が気付くべきだ、ということですね。

 

「来た時よりも美しく」

ただそうはいっても、会社では、自分を怒らせるような出来事が、わりとホイホイやってきます。

特に多くの部下と多くの課題を抱えるマネージャークラスは、黙っていてもイライラが溜まる、高ストレス環境であることは珍しくありません。

しかも今のマネージャークラス、特に40代以上の人は、自分が若かった時には、今とは比べ物にならないくらい「アホみたいに上司や先輩から不機嫌をまき散らされ、怒鳴られて育った」世代です。

自分は理不尽に怒られても、ひたすら我慢してきたのに、いざ自分がキモチヨク怒れる立場になったら、「パワハラだ!」と言われるなんて、理不尽じゃあないかあああ!!

と、穴に向かって叫びたくなる気持ちも、わかります。(私も40代ミドルなので・・・)

 

しかし、です。

私たちは子供のころに、こう習いました。

「来た時よりも美しく」

自分が育った昔より、少しでも美しい世界、住みやすい社会にして、帰る。

それが、子供のころに教えられ躾けられた、日本人として美しい生き方です。

だから、「やられたらやり返す」という倍返しの精神は、「イヤなことをされたら、いいことに転換して、倍返し!」と符号を逆にしてお返しすることが、大人としてカッコいい生き方だと思いませんか?

だから私は、今日も時間を作って、文章を紡ぎだし、発信をし続けています。

 

不機嫌とは精神的な幼稚性である

今は精神医学的、社会心理学的なアプローチで「不機嫌」を解説している本が、わりとたくさん出版されています。

その中で「不機嫌な職場」(高橋克徳ほか、2008年、講談社現代新書)という本があります。

この本、私好きなのですが、今から10年以上前に「職場」+「不機嫌」という文脈で不機嫌を解説した、わりと画期的な本だったなと思います。

こういう書籍に共通して書かれていることがあります。

それは、不機嫌は「感情の制御ができていない精神的に幼稚な状態」であり、逆に上機嫌は「自分の感情を能動的にコントロールしてバランスを取り続けるという、意思を持った精神的に大人の態度」だということです。

不機嫌を「精神的な甘えの表出」と解説している人もいます。

 

「不機嫌=誰かに何かをしてもらえる」という等式。

これ実は、全員が経験してきたことなんですよね。

そうです。赤ちゃんです。

赤ちゃんは力が弱く、一人で生きていけません。

だから全力で「不機嫌をアピール」して、おっぱいをもらい、おむつを替えてもらい、寝かしつけてもらう。

「高度に感情をコントロールして、意思をもって不機嫌を制御する」という、洗練された赤ちゃんには出会ったことがありません(笑) 

 

だからみんな、赤ちゃんの時には「全力で不機嫌をアピールしまくる」ということをしていたんですよね。

しかし成長し成熟していくうちに、自分勝手に不機嫌をまき散らすことは、人として恥ずかしい、洗練されていない(Not sophisticated)ということがわかってくる。

人として、大人として、感情をコントロールすること、そういう意思を持ち続けることが大切だと、わかってくるわけです。

恥を知り、人として成熟してくるのです。

こういう「生物学的な」「発達心理学的な」面からみると、不機嫌=未成熟、つまり「人として未熟」ということになります。

 

周りに「やたらと不機嫌をまき散らしている人」がいたら、その人が社会的に、また会社的にどんなに偉い人であろうと、「ただの精神的に未熟なヤツ」として、優しく見下してあげましょう(笑)

そしてそういう人を先生(半面〇〇というヤツね)にして、自分はそうなっていないか、内省をし続けること。

それが「目標達成」とか「タスク管理」とか「目標管理シートを埋める」とかより前に、人として、はるかに本当に大切な事なのでは?と思います。

 

生産性を上げたい?ほな上機嫌はマストでしょ!

さいごに、上機嫌と生産性の関係について、少し見ていきたいと思います。

働き方改革関連法案が2018年に成立してから、働き方の改革という文脈から、職場の「幸福学」や「ウェルビーイング」など従業員の幸福度に関する調査研究が、一気に増えてきました。

アメリカや日本でも、職場における幸福と生産性に関するたくさんの研究が行われています。

その中で、「幸せな社員は不幸せな社員よりも、創造性が3倍高い」という研究結果があります。

「幸せな社員は不幸せな社員よりも、労働生産性が1.3倍高い」という研究もあります(※)。

  • 慶応義塾大学 前野隆司教授の講演より一部抜粋・編集、https://logmi.jp/business/articles/243410

 

そうなんです。

最新の研究結果からすると、社員の幸福度は、企業の創造性や生産性向上に直結しているんです。

「お前らちゃんとやれ!サボるな!手を抜くな!」とかお説教を垂れている場合ではないんです。

お説教を垂れても、創造性は3倍にならないし、生産性が1.3倍なんかになりません。

というか、当たり前ですよね。

なんかワケわからん怒られ方して、「よっしゃ、創造性3倍アップ、やる気3割アップや!あざーす!!」とかいう人います?

よっぽどのマゾ体質or脳みそキン肉マンの人じゃないと、ちょっと無理ですよね(笑)

今なら、なんか理不尽に怒られたりしたら、「上司_ウザい」とか「会社_行きたくない」とかでググって、出てくる何万件の検索結果を見て「どれ見てやろうか。ああ、しかし凹むわ」とかなって、余計に生産性が落ちるというのがオチじゃないかと・・・。

 

少し前まで、個人としてはコスパが良かった「不機嫌」というのは、現代では職場の幸福度を下げる「悪の根源」に成り果て、さらに職場の生産性まで下げる「実害」まで生み出してしまう・・・。

この冷酷な事実を、40代以上のミドルエイジはもちろんのこと、若い世代も十分に理解して、「意思を持った上機嫌を身に着ける」というスキルを、どんどん磨いていくことが大切だと思います。

そしてそれは、自分を含め、職場や家族に「幸福」をもたらす。

 

「来た時よりも美しく」

それはまず「上機嫌」から。

さあ、今日も意思をもって、上機嫌をキープしようではありませんか!

 

まとめ
  • “不機嫌は“コスパがいい”という時代は、残念ながら終わってしまった
  • 不機嫌な職場は幸福度が著しく低い
  • やられたことは、符号を逆にして倍返ししましょう。「来た時より美しく」
  • 不機嫌とは「精神的な幼稚性」であり、上機嫌とは「大人であろうとする態度」だ
  • 生産性を上げたい?ほな上機嫌はマストでしょ!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ではまた!

 

コメント