幸せな人生のためのキャリア戦略【モヤっと方向性を考えつつ流されてOK】

career-up 会社員のハピネス

こんにちは。りっきー塾長です。

突然ですが、いまの会社を辞めようと思ったことはありませんか?

私は・・・ひかえめに言って、30回くらいはありました(笑)

それでも「とりあえず会社を辞めない」という決断を18年し続けています。

 

18年間で、転属/転勤は9回ありました。かなり多いほうです。

途中で、資本関係がある同業他社に出向したこともあります。

約500人の事業所で、私の会社の出向社員はたったの2人。ほかは全員「他社社員」(笑)

完全にアウェーで、もうまさしく「別の会社に転職した状態」でした。

苦労しましたが、約6年間働き、最後は40人の部下から「あんたは史上最高のチーム長だったよ。ほんとうにありがとう。」と言ってもらえました。

 

また最近は「せきそん塾」という私塾を通じて、部門横断的に、多くの20代の若い社員と接していますが、彼らのキャリアの悩みを共有する機会が多くなりました。

 

今回は特に若手社員が悩みやすい「仕事とキャリア」について、転職や起業した友人の話も踏まえて、考え方のコツを一緒に学んでいきたいと思います。

 

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キャリアデザイン理論とキャリアドリフト理論

世間でいう「キャリア理論」はたくさんありますが、今回は、以下の有名な2つの理論からキャリアを考えていきます。

※スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授と、ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授の理論から編集

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 キャリアデザイン理論(意図的戦略)

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キャリアデザイン理論とは、一言でいうと「自分の仕事やキャリアを、あらかじめ自分でデザインして、その通りに実践して生きる」ということです。

企業イノベーション理論で有名なハーバードビジネススクールのクリステンセン教授は、これを「意図的戦略」と呼びました。

 

しかしこれを本当に実践している人は、わりと少ないイメージですね。

そもそも日本には「就活」というものがあり、ここで「新卒で第1希望の会社に入る」ということでも結構難しい。

しかも運よく第1希望に入っても、第1希望の部署に入るのはさらに確率が落ちる。

 

私の会社でも、「英語よりスペイン語のほうが得意です。あ、でもTOEIC850点はあります」というハイスペックトリリンガルな新卒が、わりとポツポツ入ります。

そういう人の希望は、「外国でその語学をフルに発揮させて仕事をすること」だったりするのですが、希望とは裏腹に、日本語しか使わない「人事部」に配属されたりしています。

 

こういう例は珍しくなく、特にある程度の規模の会社では、人事はなかなか自分の思う通りにはならないことが多い。

「自己申告制度」などで、社内の行きたい部署に立候補できる制度がある会社でも、なかなかその通りにはならない場合も多い。

かくいう私も、毎年1回(計18回)「自己申告書」を書いていますが、その通りになった試しは1回もありません(笑涙)

 

ということで、この「キャリアデザイン理論」は、現実的には、特に会社員には結構ハードルが高かったりします。

 

しかし今は超高速通信5Gの幕開けの時代で、どこでも仕事ができる環境が整いつつあります。

これからの「Withコロナ」という新しい世界で、家賃などの固定費が圧倒的に安い「地方」に住みながら、ネットを駆使して生計を立てるという働き方が徐々に広がるとも思います。

こういう「遠隔でも、ネット空間でも自分のスキルが提供できる」という環境づくりは、今後は特にポイントになってくるでしょう。

その先には、また今までとは違った新しい「キャリアデザイン」があるかもしれません。

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 キャリアドリフト理論(計画的偶発性理論、創発的戦略)

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スタンフォード大学のジョン・クランボルツ名誉教授は、「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」という理論の中で、以下のように述べています。

個人のキャリアの80%は、予想できない偶発的な出来事によって成り立っている。その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを創造していくことが重要だ

 

また毛色は少し違いますが、同じような理論を、クリステンセン教授は、「創発的戦略」と呼びました。

「計画的な偶発性」「創発的戦略」というと、かなり難しく聞こえます。

しかしかみ砕いて考えると結構カンタンで、超訳すると以下になります。

 

大まかな方向性だけは決めておいて、あとは流れに任せておく

 

日本人の就労者の9割を占める「会社員」は、もちろん組織人なので、すべてが思い通りになるなんて基本的にはありません。

私の会社では3,000人弱が働いていますが、思い通りの部署で、思い通りの仕事をして、思い通りにキャリアアップしている人なんて、私が知る限りは、ほぼ皆無です(笑)

なので、今いるポジションでまず、自分のパフォーマンスを高めることを考え、あとは「計画的に流されてみる」ことが大切では?ということです。

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「自分のやりたいこと」を見つけられる人はごく少数

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そもそも本当に「自分のやりたいこと」が見つけられる人なんて、ごく少数です。

ある調査によると、自分の人生のテーマが見つかる人は全体の1%にも満たない、というデータもあるほどです。

ここでライフネット生命の創業者で、2020年現在、APU(立命館アジア太平洋大学/大分県)の学長をしている「出口治明氏」の言葉を借ります。

人はほとんど、本当は何をしたいのか?分からないまま死ぬ。

死ぬまでに、それが見つかった人は、超エリートなんです

 

好きなことを見つけるのは難しい。

しかしアプローチを変えて、好きなことは「向こうからやってくる」のではなく、「自分で(結構強引に)創り出す」ものだという人もいます。

 

教育改革実践家の藤原和博氏は、「キャリアの3角形理論」というものを提唱しています。

これは超約すると、「約10年ごとに違う3つのキャリアを追い求め、その3つの掛け算が『希少性』という付加価値を生む」という理論です。

 

藤原氏は、20代を「リクルートでの営業・プレゼン」、30代を「リクルートフェロー(契約社員)としてのマネジメント」、そして40代後半~50代を「公立学校の教育者」というキャリアを歩んできました。

特に3つ目の「公教育」という全く違う分野にチャレンジしたことで、「希少性」がGETできたとのことです。

しかしご本人も、まさか自分が公教育の分野に行こうとは、思ってもみなかったとのこと。

まさしく「未来は予想するものではなく、創るもの」ですよね。

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私のキャリア戦略

大したキャリアでもない私の話で恐縮ですが、振り返ると大まかに10年スパンで、キャリアを積み上げて来た気がします。

❶20代=「モノづくりの製造現場 / 製造技術でのエンジニア」

❷30代=「モノづくり製造現場 / 製造管理でのマネジメント」

そして40代は、絶賛自分を見失い中(もとい。模索中)ですが、「知識と経験を整理してOUTPUT」「伝える」「育てる」「広げる」というモヤっとした方向性があります。

あとは「キャリアドリフト理論」にまかせて、「創発的戦略」で行こうかと思っている次第です。

 

そして今は会社組織に属していながら、わりと自由な身分でいます。

何が自由かというと、「自分が本当に大切だと信じていること、自分が正しいと思う優先順位を守る」を組織の中で、わりと実践しているほうだということです。

 

私がしたいこと

私はどちらかというと「短期的な効果、短期的な成長」よりは、「長期的な基盤強化、長期にわたり安定した組織作り」に興味があります。

会社は営利団体なので、明日の事業、明日の操業と、ひたすら目の前のTaskを追うような仕事が多くなります。

私の所属する会社はモノづくりの会社なので、壊れた設備、古くなった設備にはお金をして、モノを作り続けられるように投資します。

しかし、肝心のヒトには、きちんと投資できているか?

私はここには、相当懐疑的な意見を持っています。

 

投資をしても短期的には回収できないモノ。

設備とは違い、目には見えにくいモノ。

人、組織風土、ワークスタイル、システム・・・

 

私は分かりやすい「モノづくり」の会社で、この「パッと目には見えずに、育てるのに長期の時間が掛かること」に投資を振り向ける、そういう活動をする、ということに、いま、結構な熱量をもって取り組んでいます。

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好きなことって、年季がかかる

芸能界において多才・多芸で知られる北野武(ビートたけし)氏はこう言っています。

好きなことって、年季がかかるんだよ

彼は映画や絵画など、芸人の枠を飛び越えて世界で活躍する人ですが、そんな人でも「好きなことを形にするのは、ある程度の時間が必要だ」と言っているのです。

仕事においても、趣味においても、「好き」を見つけて育んで、カタチにするのには相当な時間が必要だということです。数年という単位ではなく、10年、20年という単位です。

あなたも、まあそれほど思いつめずに、長く育てるつもりで「好き」を見つけて、熟成させていきましょう。

 

「好きなこと」はウィスキーに似ている

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「好きなことを”熟成させる”」という意識を、私はよくウィスキーに例えます。

ウィスキーって、熟成期間が10年以下のものは、ほとんど価値がない(安い)んですね。1,000円とか2,000円で買える。

12年モノで、やっと2倍の値段がつく。

しかしその後は3年ごとに、値段がどんどん倍になります。

15年モノは4倍、18年モノは8倍、21年モノは16倍のイメージです。10年~20年の価値が、かなりインフレしていくんですね。

 

「好きなこと」も、そんなイメージだと思います。

熟成期間が10年以下ではまだまだ価値がつかない。本人を差別化する「複雑な味わい」にならない、ということです。

しかし10年以上続けると、どんどん価値が上がっていく。

私もこれからは自分の「好きなこと」に磨きをかけて、複雑な味わいの出る、希少価値のある人間になりたいと思っています。

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私の約20年間の振り返り

わたし事で恐縮ですが、自分の過去20年間のキャリア戦略を振り返ると、以下のようになります。

18歳:大学入学;意図的戦略(自分で選んでチャレンジした)

24歳:就職;意図的戦略(自分で選んで入社した)

29歳:1回目の転勤(同業他社(関係会社)へ):創発的戦略(会社が決めた。結果ものすごい良い経験に)

31歳:中小企業診断士の資格勉強スタート(意図的戦略、1,300h勉強)

35歳:2回目の転勤:創発的戦略(精神的に病んで、異動させてもらった)

40歳:自主的な私塾「せきそん塾」立ち上げ:意図的戦略(自分で決めた)

42歳:韓国釜山へ転勤(創発的戦略。何かが変わるチャンス?)

 

ということで、大学入学、就職、せきそん塾立ち上げ以外は、ほぼ創発的戦略(成り行き)ですね・・・。

あれ?自分の人生を生きていない?

と思うかもしれませんが、42歳現時点で、それなりに「楽しく働いて」いたりします。

 

個人的には、中小企業診断士の勉強をかなり本気で取り組んだことが大きかったと思います。「経営」に対する総合的・網羅的な知識体系のベースができました。

その後に人材育成や組織行動論、コーチングなどを学ぶのですが、この「継続的な学びのサイクル」ができたのも、中小企業診断士の集中的な勉強のおかげだと思います。

 

40人の部下を率いていた時も、関村塾を立ち上げたときも、「いいチーム作り」「知識と知恵の伝承」をメインテーマに、自らの学びを最大限に生かしてきました。

もちろん仕事なのでつらいこともたくさんありましたが、仕事現場での「体験/経験」について、本やセミナーなどの「学び」をもとに、抽象化⇒一般化して、そしてまた還元する、というプラスのサイクルを生み出せたと思います。

 

常に気を付けていることは、「楽しいことは、じぶんで創る、じぶんで見つける」ということですね。

20年ほど社会人していますが、仕事において楽しいことを他人が運んできてくれたことはありません

みずから創る、ということが大切だと思います。

 

まあ人生一寸先は闇なので、今後私のキャリアがどうなるかわかりませんが、必ずしも「会社を変えたり、辞めたり」しなくても、結構楽しいキャリアを歩めたりします。

ただ私は、「創発的戦略」による「思いがけない機会」の扉はいつでも全開にしておきたいと思います。

その時のためにも、自分磨きを怠らずに、今日もINPUTとOUTPUTを続けます。(このブログ記事執筆も、その一つです!)

 

まとめ
  • 最初から自分のキャリアを完璧にデザインどおり歩める人はほぼいない
  • 自分が目指したい、やりたいキャリアの「大まかな方向性」をモヤっと決めておいて、あとは流される時間も必要
  • やりたいことが見つかった人は、本当にラッキー。たいていは見つからずに終わる
  • 今の仕事をつづけながら、自ら「できること」「やりたいこと」を創り出すことが大切
  • 「好きなこと」は年季がかかる。のんびり10年熟成させるのがBEST

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ではまた!

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