こんにちは。りっきー塾長です。
突然ですが、いまの会社を辞めようと思ったことはありませんか?
私は・・・ひかえめに言って、30回くらいはありました(笑)
それでも「とりあえず会社を辞めない」という決断を18年し続けています。
実は私の後輩で、会社を辞める若い人がいます。(以降、H君と書きます)。
H君は昨年、私がいる工場の総務課に配属になりましたが、理由があって入社1年強で、転職することになりました。
彼なりに悩み、もがき続けた1年でした。
私は影のメンターとして彼といろいろ話をしてきて、もがく彼を支援し続けてきました。
そして九州から関東へ旅立つ彼に、私なりの精一杯のエールの気持ちを込めて手紙を書き、プレゼントしました。
その手紙は、なんと5万文字(笑)
手紙というより、一冊の本になりました。
その手紙は、彼からリクエストのあった「キャリアの選択や価値観」について、私の18年間の社会人経験から実際にあったエピソードをもとに、若い彼へのメッセージを込めて書いたものです。
今回はその手紙をもとに、キャリアの「選択と後悔」についてピックアップします。
「会社がつらい」「会社を辞めたいけど、どうしようか悩んでいる」というすべての人へ、私なりの考えとエールをお届けします。
キャリアの選択と後悔
人生ではいくつもの「選択」に迫られます。
そしてそれにつきものなのが、「迷い」と「後悔」です。
人生で訪れる、さまざまな分岐点での「選択」。
何かを「選ぶ」というときに、何をどう考えればいいのか?
どうすれば、「後悔」が少ない人生を歩むことができるのか?
経験と学びから得た私なりの「ヒント」について、一緒に考えていきたいと思います。
才能とは、権利であり、同時に義務でもある
人間にはいろいろな側面があり、才能や希望も多種多様です。
例えば小さいころから器用でメカが好きだったので、自動車整備工場で働いている人がいるとする。
しかし同時に、人にモノを教えるのも好きなので、小さいころは学校の先生になりたかった。
こういう人は、世の中に多くいると思います。
しかし今の日本社会では、自動車整備会社で働きながら、同時に学校で先生をするのは、かなり困難です。
「副業の規制」があるからです。
この場合、たとえば自動車の整備方法を、会社で「後輩に上手に教える」ということで自分の才能を生かす、というのが関の山です。
「才能とは、権利であり、同時に義務でもある」という言葉があります。
才能がある人は、その才能を世の中のために発揮しなければならない義務がある、ということですね。
今の仕事、今の会社、今のポジションで、自分の持てる才能をフルに発揮している人はいいのですが、正直そうではない人のほうが、多いのではないでしょうか?
「才能を発揮する義務がある」という言葉は、考えれば考えるほど、けっこう奥が深いのです。
私もいつも「自分の才能をきちんと生かしているか?」と、内省する日々です。
終身雇用の終焉
少し話が変わりますが、2019-20年は、日本の雇用慣習、雇用環境が大きく変わる、そのきっかけになる年だったと思っています。
2019年にはあのトヨタ自動車の社長が「年功序列、終身雇用の維持はすでに難しい」と公の場で発言しました。
2020年には今度は日本の産業界のトップである経団連の副会長が「年功序列、終身雇用はもはや時代遅れ」と発言しました。
これは「一生一社」という、戦後日本の70年以上続いた慣習を根本的に見直す、象徴的な発言だったと思います。
そもそも人間の才能は一つではなく、多面的で多彩です。
それを「たまたま新卒で入った、最初の一つの会社」でしか発揮できないというのは、個人としても、社会としてもかなり「機会損失」が大きいということに、多くの人が気づきはじめているのだと思います。
いまの日本の世の中は、先ほどのトヨタ自動車や経団連トップの発言のように、「副業解禁」「一生一社ではなく、転職が当たり前の社会へ」という方向に舵が切られています。
しかしこのような流動的な社会になるほど、個人の目の前には「転職も含めて、常に最適な会社を選ぶ」「就職か起業か」などの「選択肢」が多くなります。
これからの若い人は、「一生一社」ではなくなりつつある世の中で、一昔前よりもはるかに多くの「選択肢」を並べながら、自分にとってベストな「選択」をしていかなければいけません。
つまり「良い選択をする」判断力・能力が必要になる、ということです。
何かを得るためには、何かを捨てる必要がある
何かを捨てないと、前へは進めない。
スティーブ・ジョブス
何かを得て、前進するためには、何かを捨てなくてはならない時があります。
なかには、片方を捨てなくていい例もあります。例えば副業などです。
今の仕事をしながら、副業で別のキャリアを少しずつ始める。これなんかは、片方を捨てるのではなく、両方を育てる、という典型的な例です。
しかし世の中には、Aを選んだら、同時にBは選べない、というような「基本的に一つしか選べない」という選択が多く存在します。
大切なことは、何を得るか?ではなく、何を捨てられるか?だ
ある大切な選択をするときに、「何を得られるか?」ではなく、「何を捨てられるか?」を考えたほうが、後悔が少なくなると思います。
人間は欲深いので、ついつい「あれも、これも欲しい。できればこれもGETできれば・・」などと、欲しいモノ、欲しい条件はたくさん出てきます。
一方で、日本人はわりと”謙虚でマジメな”民族と言われています。
「希望には優先順位をつけなさい」と小さいころから教えられているので、それらに「第1優先・・・、第2優先・・・」などと、順番をつけていきますよね。
そしてそういう整理をするうちに、「はたと困る時」が訪れます。
「あれ?私って、そもそも何がしたいんだっけ? 第1優先も第2優先も捨てられんし、もっというと第5優先も大切だし。。だって、お金と時間って、どちらも大切じゃん!・・・」
自分の中で、「何がしたいのか」「何を大切にしたいのか」の「優先順位」がよく分からなくなり、ひとりカオス状態に陥る・・・
そんな経験、あなたにもありませんか?
こんな時には、「何を捨てられるか?諦められるか?」と、逆から考えたほうがスッキリすることが多いです。
例えば就職なら、「地元の友達、家族が何よりも私の財産。他県や海外への転勤とかありえない」という人は、賃金など他の条件が多少悪くても、転勤がない企業に就職をしますよね。
また「自分、結構なコミュ障なので、できれば引きこもって仕事をしたい、人とかかわりたくない」という人は、今なら在宅や遠隔ワークでできる仕事も少なくないので、それを選びますよね。
一番大切な価値観、一番大切なモノや人を「本当に選択する」ために、何が捨てられるのか?
そこを間違えない限り、「人生やり直したいほどの大きな後悔」は、あまり起こらないんじゃないか?と思います。
私の場合は、普通で恐縮なんですけど、「家族に、安定して安心できる生活を提供」したいと思っています。
しかし同時に、父親として「仕事に誇りをもって、でもわりと楽しく取り組んでいる」という姿を見せたいと思っています。
”仕事って、つらそうで、おもしろくなさそうだね”と子供に思わせたくないからです。いい意味で”「オヤジの背中を見せる」をしたいですよね。
妻もわりと安定志向なので、できれば危ない橋は渡らず、平和に毎日を過ごしたい、その平和で平穏な毎日を愛している、という感じですね。
その中で、自分の才能を磨いて、世の中の人々に還元できたら、最高ですよね。
そういう思いで、本日もこの記事を書いていたりします。
「自分で決める人」は幸福度が高い
大切なのは、他人の意見ではなく「自分で選ぶ」こと
例えば東京に残してきた彼女が好きすぎて、まだ入社後、日も浅いのに、今の地方での仕事を辞めて、彼女のいる東京に転職する。
これって、他人から見たら「アホちゃうの?」って思いますよね。
せっかく新卒で、それなりの企業に入って、さあ、これからキャリアを積み重ねる!というときに、別に「仕事が死ぬほどイヤ」というわけではないのに、辞めてしまう。
ああ、もったいないなと・・・ ふつうは思います。
しかし大切なのは、「自分で選ぶ」ことなのです。
自分が今、一番大切にしたいものは何か?それをシンプルに大切にすること。
人生は長いように見えて、意外と短い。
ひょっとして、1年後に死ぬかもしれない。
もしそうだとしても、後悔しない選択を今、しているのか?
大切なモノや人のために、何を捨てられる? 何を諦められるか?
それを考えた時に、「捨ててもいいな」と思ったものが、自分の中で整理がついた。
まあ、なんとかなるよね、と思えた。
だったら、人や他人からどう言われようとも、すっぱり捨てて、自分の選択を信じて、前を向いて歩きだせばいいのです。
どちらにしろ、苦労するのです。
人生は、苦労の連続です。
「ラクに、苦労も苦痛もなく、人生100年生き切る」なんて、ムリな話です。
いくら日本が経済的に豊かになったといっても、年間何万人もの人が「うつ病」などの精神疾患が原因で自殺しているのです。
医学的な統計によると、社会人として働くキャリアの中で、一時的でも何らかの「精神疾患」になる人は、全体の約4割にもなるというデータもあります。
どちらを選んでも、何を選択しても、どうせ「苦労」するのです。
だったら、「自分が選んだ道」で、苦労したくありませんか?
何となく選んだ、誰かが「こちらの方が無難だから」といった道でも、結局病むくらい苦労するんだったら、それって虚しいですよね?
しかも人間という生き物は、「自分が選んだ道」でしか、自分で責任を取ろうとは思えないのです。
それが平凡な道だろうがイバラの道だろうが、「まずは自分で選ぶ」、これが一番大切なのです。
学歴、年収よりも人生を「自分で決める人」が幸福度が高い
2018年にRIETI(独立行政法人経済産業研究所)が、「幸福感と自己決定―日本における実証研究」というレポートを公表しています。
日本で約2 万人の男女に対するアンケートを実施し、幸福度を決定する要因について調査したものです。
国の研究機関が本腰で調査したもので、かなりのデータを集めて解析しています。
そして、幸福感を決定する要因として、以下の結論を出しています。
つまり、所得(年収)や学歴よりも、「自己決定」つまり、「自分で自分のキャリアや人生を決めている感覚」が幸福度を上げる要因になっているということです。
サラリーマンでもフリーランスでもどちらでもいい。
しかし、その選択を「自分で決めること」「自分で選んでいる」という感覚。
この感覚が人生の満足度を高め、幸福感も高めることにつながっている。
終身雇用がどうだとか、サラリーマンはオワコンだとか言われていますが、大切なのは「自分の感覚や素直な感情を信じて」「自分で考えて」「自分で決める」ということですよね。
今の会社を辞める決断をした人、おめでとう!
今が卒業する時だったのだ!さあ、新しい人生の始まりだ!
今の会社を辞めない決断をした人、おめでとう!
まだまだ学ぶことがあるということだ!さあ、今日も「楽しくきつい」修行だ!
人間は失ってみないと「ありがたさ」がわからない
人間は、不完全な脳ミソを持つ、わりとアホな生き物です。
その一つが「失ってみないと、当たり前にある『ありがたさ』を忘れてしまう」ということです。
朝起きて、家がある。水が出る。冷蔵庫にジュースが冷えている。
これって日本では「あたりまえ」にある、ほとんど誰でも普通の朝の光景ですよね。
でもこの「当たり前」が、突然無くなる時がある。
東日本大震災や、大型台風での災害とかが、それです。
津波や洪水で家が流され、電気はストップし、水も出ない、というニュースを見て、多くの人が愕然となりました。
今回のコロナパンデミックでも、都会では当たり前だった「通勤」、「満員電車」と「オフィス」が、突然、生活から無くなりましたよね。
遠く離れて住んでいても、飛行機や新幹線があれば、すぐに会いに行けた「大切な人」たちに、長い間会えなくなりました。
”今まであたりまえだったことが、あたりまえじゃなくなった”
誰かそれを想像できたでしょうか?
誰もできなかったと思います。
あなたにも大切なモノ、人があると思います。
しかし形あるものは、いつかは無くなります。
壊れてから、無くなってからでは遅いんですよね。
壊れる前に、無くなる前に、一番に大切なモノ・人を、本当に大切にする「勇気」が、いま、あらためて問われていると思います。
戦略は正しく実行されなければ、ただの善意でしかない
自分が「大切だ」と思っていることに、きちんと資源(時間、労力)を振り向けなければならない
クレイトン・クリステンセン
これはクリステンセン教授が、会社経営においても人生においても重要だと考えていたことで、私の大好きな言葉です。
自分が「大切だ」と思っているものに、意外と自分の時間と労力を振り向けていないということが、本当によくある、ということです。
例えば「嫁さんと子供が一番大切だ。俺の宝物だ!」とか言いながら、毎日残業で夜遅くしか帰れないお父さん。
息子とお風呂に入って、うれしそうに今日の出来事を話す息子を “笑顔でなでなで” してあげる、という貴重な時間が、会社のどうでもいい資料作りで奪われる。
よくある状況ですよね。
世の中の会社でも、そういう状況がよくあります。
「社員が日本一幸福になれるような会社を目指す!」とか言っておきながら、舌が乾かぬうちに、朝から社員を気持ちよく怒鳴り散らす社長。(体験談です・・)
「従業員がイキイキ働ける職場づくりを目指します」とか会社の方針に書いてあるのに、パワハラ課長をそのまま放置する部長。(体験談です・・)
「口で言っているだけでは戦略にならない」ということです。
自分が「大切だ」と思っていることに、きちんと毎日、時間と労力をかけているか?
私たちは常に、自分の時間と労力の使い方を、自省しなければいけません。
もし自分の「思っていること、言っていること」と「やっていること」が違う場合、勇気をもって、変えていくことが必要です。
特に結婚して子供が生まれ、自分の家族を持ったあとに、わたしは毎日、これを思い浮かべるようにしています。
「短期的にわかりやすいもの(昇進/昇給、上司へのアピール)を優先し、今日しなくても、何かが損なわれたように思えないもの、何十年もたたないと見返りがないもの(子供と貴重な時間を過ごす、伴侶とゆるぎない関係を構築する)をおろそかにしていないか?」
取り返しがつかなくなる前に、「失って初めてわかること」が、失われる前に想像できるように、日々を過ごしたいですよね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ではまた!
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